オーストラリアの あ・し・も・と

 オーストラリアの あ・し・も・と

 皆様、こんにちは。

 他の先進国をよそに近年目覚ましい発展を遂げたオーストラリアですが最近何やら不穏な状況が見え隠れします。


 一般的にはオーストラリアは資源国家であり、アルミニウムの原料であるボーキサイト・鉄鉱石・貴金属・農産物等の産業と観光などのサービス産業である第三次産業が大きく、製造業に乏しいといわれてきましたが最近は製造業なども堅調といわれています。


 更に、国を大きくするために移民政策を取っており移民の総人口に占める割合が27.6%と大きくなっています。
 近年の中国経済の成長?に伴い資源価格が上昇し、鉱工業が潤って中国系移民の流入などに伴い、不動産の看板は英語圏にもかかわらず漢字のオンパレードとなっており、“ここどこの国?”という状況です。(2007年くらいから)


 不動産の購入には莫大な費用が掛かるために中国からの資金流入が大きいと考えられます。とりわけオーストラリアの発展は中国頼みという状況も見て取れます。しかし反面。


 引用開始


 豪、中国からの不動産投資急増に懸念 買えないはずの物件にまで触手  zakzak電子版 2014.06.27

 中国人の不動産購入熱はとどまるところがない。オーストラリアでも都市部での中国人による不動産購入が急増している。
 最近は外国人が原則、買えないはずの中古物件にまで手を伸ばしているという。その結果、中古物件の価格が急騰。初めて家を買う若い層が購入を断念するケースもあるようだ。
 オーストラリアの不動産への中国からの投資額は、昨年1年間で約59億豪ドルに上った。市場の2%だが、投資先が都市部などに集中するため、価格への影響が大きい。
 メルボルンの住宅地では、元の値段の1割増しでも中国人らが購入するため、それに引きずられて周辺の地価も上昇している。
 このまま規制を強化せずにおけば、地元の人は完全に市場から閉め出されてしまうとして、当局の対応を強化するよう求める声が高まっている。

 引用終了

 相変わらず無茶ぶりを呈しております。景気が良いのか物価も高く、肉類・乳製品を除いて価格は高いのです(タバコ1箱1000円等)
 そして、第一次産業に資する資源が豊富であり、食料自給率の圧倒的な高さ等から世銀からどんなことがあっても(戦争を除く)生き残れる国家と太鼓判を押されていました。


 最近までは日本の低金利をよそに高金利が持続されたオーストラリア国債の人気は高く、海外投資家によるオーストラリア債券の保有が、豪ドル相場の高値安定に大きく寄与している現状がありました。


(*)その結果・・・オーストラリア国債発行残高に対する外国人投資家の割合が70%に達する超人気ぶり???(意味あり)を呈しています。

 

しかしながら、オーストラリアが頼りにしていたインフラ整備が目的の中国主導AIIBが発足しようにも日米加入せず、かけ声倒れに近く、思うように進まない運営状況となっており、中国経済も失速が鮮明になりました。


 そのあおりを受けたのかオーストラリアでも景気悪化が懸念され

 引用開始


 豪中銀、予想通り金利据え置き 成長鈍化の懸念 

 ロイター電子版2016年 12月 6日

 オーストラリア準備銀行は6日、年内最後の理事会を開き、政策金利のオフィシャルキャッシュレートを予想通り、過去最低の1.50%に据え置くことを決定した。
 ただ理事会後に発表した声明では、弱めの経済指標が出ていることを受け、第3・四半期の成長率がマイナスになる可能性があることにも言及した。
 第3・四半期の国内総生産(GDP)は7日に発表される予定。アナリストの間では、2011年前半以来初めて成長率がマイナスとなるとの懸念が出ている。現実となれば、豪ドルAUD=D4が0.7450米ドルまで下落する可能性は十分ある。
 基調インフレは1.5%にとどまっており、今後1年以上は中銀目標レンジの2─3%を下回る見通し。ここ数カ月の雇用の伸びも失望を誘う数字となっており、フルタイム職が得られずパートタイムで働く人が増える傾向にある。
 10月の住宅着工許可件数は予想に反して減少し、住宅建設ブームは既にピークを越えたようだ。一方で、シドニーとメルボルンの住宅価格は上昇が加速している。

 引用終了

 という状況に、更に今なお中国人の不動産熱は凄まじいものがあり、一部地域での不動産バブルを引き起こしている現状でもあります。中国でも同じことが発生したので他国でも同じことを仕出かしているのです。


 他のブログにも書きましたが泡は必ず弾けます。


 崩壊の程度が劇的であればあるほど景気に悪影響を与えます。結果雇用にもネガティブに働き、失業率の上昇が予想されます。


 移民の総人口に占める割合が27.6%と大きいのです。景気悪化時、基本的に移民から初めに解雇される可能性が高いのです。

 不景気の結果、解雇され、無職になった移民の一部は生活の為に止むを得ず犯罪に手を染め・・・・といういつものお決まり文句へ、社会が不安定になります。


 経験からなのですが2007年前半所用でオーストラリアへ行ったとき、公園を散策していると、うつろな目をしていた20代の男性がこちらへ寄ってきて“GIVE ME MONEY”と呼び掛けていたいたのを覚えています。多分“アル中”か“麻薬中毒”ではないかと思います。

 

 その方は白人でしたが様々な理由でアウトローになったのか?


 詳しくは存じませんが云える事は移民の割合が多いいという事は景気が良い時はさほど表には出ないでしょうが景気には波があり、いったん不景気にぶれると解雇等の理由から社会のシステムから容易に放り出され、特に入植して間もない移民の方は生活基盤に乏しく、破たんしやすい傾向にあると考えます。

 国民の2割以上が移民であれば一旦景気が不景気にぶれれば、単一民族の国家に比べて社会保障費が激増し、社会の安定性が劣化しやすいと推定されます。


 幸いか否かは存じませんがその後から資源バブルが再燃し、オーストラリア経済が盛り返しましたが肝心の経常収支はここ数十年赤字続き、更にここ10年以上経常収支が毎年400億~660億米ドルの大赤字を計上しています


 それについて某社の投資信託のセミナーにてオーストラリア行使の方は資源関係等への有効な投資を行った等と説明しており、良い借金であるとの内容を説明していますが赤字は赤字であることに違いありません。一般常識でいつかは経常収支にバランスを整えなければならないのです。


 今後アジアを中心に数十億人人口が増加する関係上、資源需要が増加するので資源関係は安泰の様な説明をされていますが・・・

 もう一度記載します。 “泡”は必ず弾けます。

 一部不動産価格の暴騰は主に中国人の仕出かした事ですが、暴騰した不動産価格も御多分に漏れずです。必ず強力な価格調整システムが働きます。
 最近、中国の景気が下振れを始めました。中国経済も強力な調整に見舞われるでしょう。欧州もイタリア政府が銀行支援の為にEUに1兆5千億円の支援を要請したとのニュースが発信されました。中国もEUも危険な状況に至り始めています。


 景気が更なる悪化を始めるでしょうから戦争でもない限り、資源価格も強力な価格調整システムが働きます。
相場には波があります。良い時もあれば悪い時もある。しかし悪い時を乗り切る体力(蓄えあるいはそれを担保する信用)が無ければ乗り切れません。
 肝心の経常収支はここ数十年赤字続き、更にここ10年以上経常赤字が毎年400億~660億米ドルの大赤字を計上しています。

 

 更に当該国発行の国債の消費者(保持者)の7割が外国人投資家であり、当該国国民ではないのですここが日本と違うところなのです。

 その結果。その累計とも言えるべき事態が・・・・・・

 2013年時点でのオーストラリアの対外純資産総額


-743,491.296米ドル  (110円/US$)


82兆円の大赤字 を計上しています。

 お金だけあればいいというものではないのですが・・・・一番大切なことは、万が一の時にそれを担保する信用がない場合、


 
 (注)オーストラリアへの投資に関する今迄の資本流入がありますので”即”ではないのですが、中国・ドイツ経済大不況等による」資源価格下落、不動産バブル崩壊・株価下落により、貿易収支+資本移転収支+金融収支が赤字になり、資本逃避(キャピタルフライト)が発生した場合、外貨準備高が乏しければ、驚愕の事態に陥ります。

 最近、アメリカは金利引き上げを示唆しましたが、更なる金利引き上げを行った場合、資金がアメリカに向かいます。各々の国家の状態(基礎指標)によっては莫大な資本流出(キャピタルフライト)が発生しやすい状況になりかねません。
 お馬鹿では決して国際金融機関の職員・行員にはなれないのですから。

 

2016,12,10 一部文章追記済
 

2016年12月08日